2019

ウィンブルドン2019・男子決勝

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ウィンブルドン大会男子シングルス、準決勝におけるバウティスタ・アグート選手の健闘は光りましたが、残り3つのイスはビッグ3が独占、30歳をとうに過ぎた3選手が他を寄せ付けず君臨する結果となりました。

 そして決勝は過去ウィンブルドン8度優勝、37歳のレジェンド フェデラー選手と、4度の優勝、このところ芝に君臨する世界NO.1ジョコビッチ選手の対戦となりました。

 振り返れば歴史的な一戦となったこの試合、どんな試合だったのでしょうか?

 

ウィンブルドン2019・男子決勝

TOTAL STATS

 試合時間4時間57分、ウィンブルドン男子シングルス決勝史上最長の時間を費やしたこの試合の、Total Statsをみてみましょう。

 トータル獲得ゲーム数 ジョコビッチ選手32、フェデラー選手36

 トータル獲得ポイント数 ジョコビッチ選手204、フェデラー選手218

 ウィナー数 ジョコビッチ選手54、フェデラー選手94

 アンフォーストエラー数 ジョコビッチ選手52、フェデラー選手62

 ブレークゲーム数 ジョコビッチ選手3、フェデラー選手7

 サービスエース数 ジョコビッチ選手10、フェデラー選手25

これらのファクターで、ジョコビッチ選手が優位だったのはアンフォーストエラーの少なさの一つだけ、後は全てフェデラー選手が上回っています。

 しかし勝利し、優勝したのはジョコビッチ選手でした。フェデラー選手はまさに惜敗中の惜敗、「試合に勝って、勝負に負けた」結果となりました。

 テニスの試合は1セット中に6ゲームを取ればそのセットを取ることが出来ます。フェデラー選手は第一セットから第四セットまで全て6ゲームを取り、新ルールとなった第五セットでは最大の12ゲームを取っています。つまり試合内容としては、勝利とならない方が不思議、という数字を残しているわけです。

 

タイブレークの明暗

 近年のテニスの試合では、タイブレーク制が用いられています。プロの試合などでも、それがタイブレークに持ち込まれると、テレビなどではその選手のタイブレーク実績を必ず紹介します。錦織選手などはタイブレーク勝率が高いことで有名です。

 しかしながら、不思議なことにタイブレーク奪取率はほぼ5割を中心に若干プラスマイナスしています。一方的に取られてしまう、逆に取っているという数字はほとんど見かけません。つまりタイブレークは、プロのレベルになるとほぼ確率5割の勝負とみてよいでしょう。

 このウィンブルドン決勝では、5セットのうち3セットがタイブレークに持ち込まれました。そしてそれをことごとく奪ったのがジョコビッチ選手だったのです。第二セットは2ブレークアップ、第四セットは1ブレークアップときっちりそのセットを優勢にして奪取したフェデラー選手、対して互角のゲーム展開でタイブレークに持ち込んでそれを全て奪取し、優勝したジョコビッチ選手、この世界一を争う選手同士のタイブレークとしては、大変珍しい結果となりました。3回のうち少なくとも1回はフェデラー選手に転んでも全く不思議はない、むしろそのほうが自然だとさえ考えられます。

 

徹底したフェデラー選手の戦略

 まさに薄氷の勝利を得たジョコビッチ選手ですが、ここまで世界王者を追い詰めたのはフェデラー選手の徹底した戦略がありました。それはフェデラー選手が持つ極めて高い技術力だからこそできた戦略ともいえますが、無敵に近いジョコビッチ選手を倒すにはこのようなやり方がある、と示したものでした。

 芝というサーフェスを生かしたその戦略は、ジョコビッチ選手に高いところで打たせない、というものです。特にフェデラー選手が警戒したのはジョコビッチ選手のバックハンド、高い打点から早いタイミングでクロス、ダウンザライン両方向に極めて精度の高いショットを打ってきます。これをさせないために、フェデラー選手は、バックハンドのクロススライスショットを多用、また一つとして同じ球は無いような配球で、フラットドライブ、スピン、フォア側に逃げるスライス、深め、浅めとあらゆる組み合わせでジョコビッチ選手を攻撃していました。

 通常の試合では相当のウィナー数を取るジョコビッチ選手が、フェデラー選手よりも40本も少なかったのはこのフェデラー選手の戦略にあります。これに加え、フェデラー選手の流れるようなアプローチからネットプレー、時に見せるサーブ&ボレー、そしてピンポイントで決まるサービスエース、まさに円熟の極み、フェデラー選手にとっても自身最高のプレーではないか、と思わせる素晴らしいテニスを展開しました。

 

よくぞ耐えたジョコビッチ選手

 長年の対戦から、フェデラー選手への戦略はジョコビッチ選手にとってほぼ最初から決まっていたといって差し支えないでしょう。基本はバックハンドへの高いボール、ナダル選手が対フェデラー選手にみせる徹底したあの戦略です。

 しかしこのウィンブルドン決勝ではそれはあまり機能しませんでした。それをさせないフェデラー選手の先手の攻め、そしてフェデラー選手自身バックハンドが更にレベルアップしています。この日もバックハンドダウンザラインへの見事なウィナーをジョコビッチ選手相手に何本も決めていました。

 好調なショットで狙い通りの展開をしてくるフェデラー選手に対して、ジョコビッチ選手は守勢に回っていました。耐えに耐え、わずかにみせるフェデラー選手のスキをついてのストロークウィナーや、ネットプレー、賞賛すべきはここまで追い込まれながら乱れなかったメンタルでしょう。

 ジョコビッチ選手がフェデラー選手のサービスゲームをブレークするのは何と第四セットになってから、フェデラー選手がいかに完ぺきなサービスゲームを展開していたかがわかります。

 

第五セット第16ゲーム40-15

 第五セットはジョコビッチ選手がブレーク先行、それをフェデラー選手が追いつき、そして第15ゲームをブレーク、サービングフォーザチャンピオンシップを迎えます。

 ここまでのフェデラー選手の好調なサーブからは、多くの方の脳裏には、フェデラー選手の優勝がちらついていたでしょう。そして事実、目の覚めるようなサービスを決めて40-15とダブルマッチポイント、しかもフェデラー選手のサービスという、ジョコビッチ選手を土俵際のその先まで追い込みました。

 結果は衆知の通りです。この絶好中の絶好のチャンスを逃したフェデラー選手、そしてここまで追い込まれながら冷静にパスを決めたジョコビッチ選手、この試合はテニス大会史上に残る名勝負となりました。

 

ジョコビッチ選手の時代再来

 ジョコビッチ選手がその後のタイブレークを制して5度目の優勝、グランドスラム優勝回数もフェデラー選手やナダル選手に迫ってきました。2018年~2019年のグランドスラム7回のうち、4回の優勝、再びジョコビッチ選手の時代がやってきました。しかし、他の強豪選手もこのまま引き下がるわけにはいきません。フェデラー選手が示したジョコビッチ選手攻略へのヒント、我が錦織選手も是非参考にして、この強敵を打倒してもらいたいものです!

 

 

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tamaji

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テニス歴40年のスポーツ観戦オタクです。テニス以外のスポーツもチェックしています。 その他の趣味はコーラスです。 外国人おもてなしボランティアもやっています。 東京オリンピックのボランティアをやりたいなぁ。

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